複写と原稿枠

先日、写真の複製の依頼がありました。

写真は2枚で両方とも凄い巻き癖と大きなひび割れが数カ所に有ります。

フラットヘッドスキャナーでスキャンする事も考えたのですがひび割れの箇所が奇麗に出来ない事と巻き癖による光のムラや銀焼けが後処理で厄介なので久しぶりに複写で撮影する事にしました。

何度も広げると傷みが進みますので広げるのは最小限の回数にします。

今回の複写作業は私が中学生の時、父の依頼で作った複写原稿用の原稿枠を使用しました。

スキャンニング全盛の昨今、こんな時代物を使用する事はほとんど無くなりましたが、先人の思いや苦労がいっぱい詰まった物も今の私の仕事を助けてくれます。

この原稿枠裏側の構造をお見せしますと。

このような構造になっていて、表面は5mmの厚ガラスを入れています。

今から50年近く前、父の意見を聞きながら一生懸命作った事を思い出します。

中学生の頃から父の依頼で木製カメラ(八切暗箱、アンソニー)や4x5カメラの改造調整など店の手伝いを良くやらされていたように記憶しています。

(こうして今改めて眺めると数少ない道具で苦労して作っているのが良く判ります。)

余談になりますがこれを使用すると分厚い本も難無く固定出来ます。

仕事の話に戻ります。

この原稿枠を使用して曲がり癖のついた写真をガラス面にぴったり固定します。

ライトはE640に10"x36"ソフトボックス+グリッドを2灯使用しました。(こういった複写の場合通常4灯が基本ですが、この原稿サイズでこのソフトボックスサイズだと2灯でも大丈夫です。)

原稿枠の表面がガラス面なので光が手前にまわらない様ソフトボックスには写真のようにグリッドを付けています。

撮影側もお見せします。

先日リバーシブルに改造したVレフを撮影側の後ろに立てます。

その前の黒布は撮影機材に被せ、徹底的にガラス面の反射を押さえ込みます。

以上が撮影までの手順です。

今回の撮影結果は上々でこれからPhotoshopを使った修整、補修作業に入ります。

参考までに大きくヒビの入った箇所の切り出し画像を掲載しておきます。

 

 

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